あっという間に1月も半ば、寒い日が続いております。
庭師は、1月2月と比較的のんびりしている商売なのですが、、、、
ありがたいことに今年も年明けから忙しくさせて頂いております(小涙)
しかし、うちのような小さな店に声をかけてくださるお客様のお蔭で、このご時世に庭を創ってご飯を食べ
させてもらえてるのですから本当に有り難いです。
今年の1月1日発売の「NIWA」という雑誌に掲載していただきました。
昨年、奈良県天理市で創らせていただいた「大一電化社」
こちらは、イタリア製のエスプレッソマシンを輸入、販売されている会社で、そこのショールームに庭を創らせていただきました。
もちろん日本庭園ではなく、お客様には「並ぶ商品に相応しい庭」とのご要望をいただきました。
とても難しいテーマです・・・。
日本庭園では表現できず、イタリアをイメージした庭を創ると偽物になってしまいます。
海外でよく見る日本を違う解釈で表現しちゃった建物や食事のような、自国の人が見ると違和感しか感じないもの。
そもそも私はイタリアに行ったことすらない 笑
私は、素材にこだわらず、子供が見てもワクワクするような日本では無い庭を創ろうと思いました。
アプローチは緩やかなスロープになっており、波紋のような模様は色粉を入れたセメントを「掻き落とし」という技法で削り落としてつくっています。
この模様ひとつひとつを手作業で削るので、形が微妙に違う、その違いがアプローチに躍動感を与えてくれます。
日本庭園のバランスで日本庭園の技術を使い、日本では無い庭。
植物は多様なものを使いました。
6mはあるヤマモモの木、夏ミカン、センペルセコイア、ハーブ類も沢山植えてあります。
使う材料が違うだけでこんなにもイメージが変わるんですね♪
レンガの塀も曲線になっているんです。
アプローチも曲線でできています。
二つの曲線を組み合わせることで空間がとても広く見えてくる仕掛けになっており、限られた空間を広く見せるための工夫があります。
モザイクタイルのように見えるのも、実は石。
岐阜県で取れる赤、青、白、黒と色の混ざった大きな原石を砕いたものを、色分けしてモザイクのように使いました。
タイルで施工すればもっと早かったのですが、自然石を使うことでもう一つ上の景色が出来ました。
アプローチにタイルを使うと滑りますし。
自然石を綺麗に面を出して並べる、これも日本庭園では「あられこぼし」という技法なんです。
石の大小の振り分けや、面のある石の選び方など色々手順があるんですよ。
私にとって、とても挑戦の沢山あった庭創りでした。
私でも初めて創るものに、信じて任せてくださったクライアントに本当に感謝いたします。
とても喜んでいただき、ショールームにこられる来客も庭で立ち止まって楽しんでいただいているようです。
日本でもイタリアでもなく、絵本に出てくるような素敵なアプローチと庭が出来ました。
猪鼻一帆